グラウンドのラッパの音、汗の匂い、そのどれもが眩しくても
朝、目が覚める。
光が差し込む窓辺の先には、春先には桜が満開になる東京大学のトラックフィールドが目に飛び込む。
毎日、朝晩この景色を眺めることが、いつの間にが僕の日課になっていた。
駒場東大前、代々木公園、代々木八幡。
どの駅も少し距離はあるけれども、どこにも行きやすいそんな場所。
僕がこの部屋に決めたのは、立地もあるけれども春には桜が満開になるこの風景に一目惚れをしたから。
39.58㎡の1LDKは、つかいやすく心地よい間取りで、
場所と広さを考えたらなかなかコストパフォーマンスもいい。
建物自体の古さを感じずにはいられないから、むしろその古さに愛着が湧いてきた。
リビングの窓を開けると、陸上部の声や音楽室からの楽器の音が聞こえそうな、広大なトラックフィールドがひろがっていて、その場所を取り囲むように緑がぐんぐんのびている。
春にはあたたかな桜の、夏には新緑の瑞々しい葉っぱの
そんな香りが部屋中に溢れそうな、全力で自然を感じることができるのがうれしかった。
眼前にひろがる光景は、いつだって眩しくて振り返りたくなるけれども、
いつもとなりで美しく佇んでいる、今はもう戻れないキラキラと輝くその一時を横目に、僕は僕の道の先を歩んでいくんだ。
〈備考/注意点〉
・室外洗濯機置場
・和室にエアコンはありません
・ガスコンロは要持ち込み