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間違いだらけの住宅えらび
vol.1 南向きの家が最高ってほんと?
このコラムはR-STOREが様々な物件を実際に見学し、お客様にご紹介し、契約をお手伝いしてきた立場から、どういう視点で賃貸住宅を選べば良いのか、そのノウハウをちょっと変わった視点からお届けしよう、そういう趣旨で始まります。
R-STOREは「不動産のセレクトショップ」を標榜し、また「独自の視点で不動産を再評価する」ことをモットーとしています。また、築年と駅からの距離で物件を選ぶことをやめて、「ライフスタイルを中心に物件を選ぼう」と呼びかけています。
でも、どうやって?
これから私たちがお伝えしようとすることは、通常の不動産選びのノウハウとは少し違います。 皆さんが一番気になる賃料や場所、それは皆さんご自身で判断してください。それをクリアした上で、より快適に、最も自分らしく住むためには、どのような視点から物件を選べばよいのか。間取り図を前にして、現場に立って、立脚すべき視点、見るべき点、価値観、その辺りを、感覚的な部分も交えて、お伝えできればと思います。
「どうやって探したら良いですか?」という問いに対しては、あえて「R-STOREをこまめにご覧ください」と答えたいと思いますので、そこはご勘弁を。
好きな方位はやっぱり南?
前置きが長くなりましたが、第一回は<方位>についてです。
住宅にとってベストな方位は?多分99%の方が「南」と答えると思います。そしてワーストは「北」ですよね。方位ランキングをつけるとすれば、1位「南」、2位「東」、3位「西」、4位「北」というところでしょうか?「南向きはなぜ良いのか」「東南の角がなぜ良いのか」それはひとえに日当たりの観点からですね。燦燦と日が当る明るい部屋、これ以上の説明は不要でしょう。
では「北向きは本当に悪いのか」。R-STOREでは「独自の視点」を大事にしているので、敢えて「西や北向きも良いよ」という点からアプローチしたいと思います。
日が部屋に入ってくるためには窓が必要です。そこで、まず「窓」の機能を考えて見ます。窓の機能・・・と言って思いつくのは採光、通風ですね。これは外のものを内側に取り込む機能です。外光、外気を部屋の内側に取り込むための窓という考え方です。「外から内」の機能です。
同様に「内から外」の機能もあります。「排気」です。外気を取り込むのと同時に内側の空気を外に排気します。
そしてもう一つは「眺望」。窓は私たちに内側から外側を「見る」という機会を与えてくれます。これは当たり前すぎてあまり気付かないのですが、実は窓を設ける根源的な理由の一つです。
整理すると「採光、通風、眺望」これが窓の三大機能なのです。
このうちの「通風」これは方位はあまり関係ないので、ここでは考えずにおきましょう。
志賀直哉の書斎は北向きだった
そこで「採光」と「眺望」について考えて見ます。
採光の面では直射日光でポカポカと暖かい南側に対し、北側は光量が安定しているといわれます。直射日光は入りませんが、柔らかで均一な光が長い時間入ってきます。教室は北向きが良いといわれます。直射日光は目に刺激が強すぎるためです。白樺派を代表する作家である志賀直哉の書斎が北向きだったのは有名な話です。均一な光が安定して入ってくる北向きは、読書や仕事・作業などに向いていると言えるでしょう。(※1、※2)
また、公園や緑地、庭に面した住居の場合は絶対に北向きがオススメです。
向日葵を思い出してください。向日葵は太陽の方に首を向けて咲きます。これは何も向日葵に限ったことではなく、光合成を行う植物はほとんど同じだと考えてよいでしょう。植物は葉や花を南に向けるものです。
すなわち南を向いた花や葉を正面から眺めるには北側からでなくてはなりません。南側の庭は日当たりは良いですが、すべての植物が背中を向けているわけで、決して美しい庭ではないのです。
近代史上最も重要な日本建築家の一人である前川國男の自邸は、北側にある庭が見事につくりこまれています。(※3、※4)
北向きのデメリットは設備に頼って解消
まとめると、北向きには
・光量が安定し読書などに良い
・緑がきれいに見える
などのメリットがあると言えそうです。
読書も「眺める」行為の一つであるとすれば「眺望」ということに特化して考えれば、南向きよりも北向きに軍配があがるわけです。「寒い」「湿気がある」といって嫌われる北側ですが、南向きだからといって、冬場に暖房を使わなくても良いということはありませんし、夏場はかえって北向きの方が涼しく過ごせます。北側のデメリットは空調や床暖房などの機器で補えるのですから、その場所でしか得られない「眺望」を楽しむために北向きを選ぶというのも素敵だと思いますよ。